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【革のこと】オリジナルレザー、ハリーの秘密。

「RE New STANDARD」というコンセプトを掲げて。

先入観をとりはらい、自分たちの価値観でとらえなおした、新しいスタンダードを提案するREN。その象徴と言えるのが、定番素材であるピッグレザー「ハリー」です。

今回は素材の背景にフォーカス。誕生のストーリーやRENのスタッフも知らなかった名前の由来まで、さまざまな謎を解き明かします。

「革」の持つ、あたらしい価値。

およそ15年ほど前のこと。ブランドを立ち上げたばかりの当時、革といえば牛革が主流でした。ベジタブルタンニンでなめされた、傷や色むらのないものこそが正義。ひと目見てわかる、クオリティの高さがもてはやされていました。もちろん私たちにも異論はありませんでしたが、いっぽうで私たち独自の価値を求めて、素材探しをしていました。

そこで出合ったのはピッグレザー(豚革)。丈夫で軽く、通気性がよいという利点がありながらも、毛穴が目立つこと、傷や色むらがあること、また“豚”という響きの持つ先入観から表面に使うことが敬遠され、当時一般的には、バッグの裏材や靴の中敷として多く使われていました。

そんなピッグレザーに、私たちは未知の可能性を感じたのです。

「使えない」と思い込んでいました。

一枚の革から、商品に使えるところ・使えないところを見極めます。豚の革には傷や色むらが多く、一般的な価値観であれば、合格ラインを越えるのは全体の60%ほど。決していい割合ではありません。使えないところが多ければ、そのぶんコストも掛かり、なにより素材を無駄にしてしまうことになる。

意識改革が必要でした。

これまで「使えない」と思い込んでいたところを生かし、傷や色むらもまた革の持つひとつの個性ととらえ、「使える」ほうに。そうして使用率を80〜90%まで上げることができました。

とらわれていたのは、私たちでした。

豚の革に触れるたび、私たち自身も、日増しにその魅力を発見していくことになります。

とにかく軽く、密度が高いので薄くしても丈夫。しなやかで、まるで布のバッグを作っているような感覚すらおぼえます。

さらに海外からの輸入にたよる牛ややぎの皮と違い、豚の皮はすべて国内で、しかも食肉として活用されたあとの皮が使われる。その循環もまた、原料を無駄にしたくないRENの価値観に沿うものでした。

そうして自信を持ってつくりあげた商品でしたが、いったいどれくらいの人が受け入れてくれるのかは、最後まで未知数でした。営業先であるセレクトショップのバイヤーたちの感想は「うちでは売れそうにない」「傷や色むらがクレームになる恐れがある」。私たちのこだわりが届かず、悔しい思いをしたこともありました。

しかし、百貨店でポップアップショップを開いたとき。来店されたお客様から私たちの予想をはるかに超える好反応を得ることができたのです。

傷や色むらについての説明を聞いたうえでも、多くのひとが、「いいの。素敵だから」と、感覚的に気に入ってくれました。使い手とじかに接することで、私たちの想いは、確信に変わりました。

さらに裁断の観点はゆるぎなく。

革をどう裁断し、どう組み立てるか。私たちはさらに経験を積むことで学習し、ゆるぎない観点を得ていきます。

もっとも重きを置いているのは、革の中でも良質な部分を生かすこと。厚みがあり密度も均一な、豚の背中にあたる部位を中心に選ぶことを第一義に、傷や色むらができるだけ目立たない位置にくるよう裁断。また腹部の皮をある程度含むことも、しなやかさや軽さにつながります。いずれにせよ、ひとつとして同じ革は存在しないだけに、裁断職人の腕の見せどころです。

また染料によっても、傷や色むらの表れ方は異なります。黒などの濃い色と比べて、ベージュなどの淡い色は染料の入りが浅く、使用によって味が出やすいという特徴もあります。

部位による密度や質感の違いのこと、染料のこと。それらを研究し、革をできるだけ無駄にしない方法を編み出しています。

ハリーの名前の由来とは?

ところで、なぜ「ハリー」と呼ぶのでしょうか? 

素材名を考えるにあたってこだわったのは、「REN」というブランド名と同じように、できるだけ意味をともなわない名前にすること。商品の特徴から連想できる名前や、わかりやすくて最初から覚えやすい名前を選ぶより、年数をかけて徐々に親しんでもらえるように。そうした願いを込めたいと考えていました。

ふいに浮かんだのは、『三びきの子豚』のお話。調べているうち、童話収集家ジェームズ・オーチャード・ハリウェル=フィリップスの存在に行き着きました。そうして、彼の名前にちなんで「ハリー」と命名することにしたのです。

この命名秘話は、じつはRENのスタッフさえもあまり知りません。それでもだれもが、「ハリー」と呼ばれるピッグレザーのかばんを、毎日のように使っています。名前に込めた願いの通りに、今日も愛されているようです。