公開日:2021/11/29
使い手次第のゴートベロア。
私たちRENが使う多くのレザーのなかでも、スタッフにファンが非常に多いゴートベロア。その名の通り、ベロアのようななめらかな肌触りとしなやかな光沢が持ち味。使い手によって育ち方がてきめんに変わる、ユニークなレザーです。それで作ったバッグは丈夫でシンプル、使い手の好き好きに使えるのが特徴です。
ベロア感が引き立つ、Wフェイス仕上げ。
この質感を醸すひみつは「ナパラン仕上げ」にあります。一般的に、ムートンなどの床面(裏面)を整えるために用いる加工法のこと。サンドペーパーでていねいに磨き起毛させたスエード面に、ごく薄く樹脂を吹き付けます。それをアイロンで馴染ませたら完成。この工程によって、スエードに比べても汚れにくく、毛羽が抜けにくくなるのです。また、たとえ汚れても品が損なわれないのも特徴です。
RENではさらになめらかさを実現するため、銀面(表面)にも同様の加工を施しています。Wフェイスにすることで、裏地なしでも軽くしなやかな風合いを楽しめ、使い勝手がよくなります。
▲ 左が「ミニトート」、右が「フラットショルダー」
育ち方に表れる、使い手の個性。
比較的、経年変化が生じやすいレザーです。たとえばゴートベロアで作られた「フラットショルダー」や「ミニトート」は、使い方によって、シルエットや質感が大きく変化を見せます。
重いものを入れてテンションをかけると表面がひび割れていきますし、くしゃっと持つ頻度が高いと、てきめんに柔らかくなります。
ストラップはレザーではなくワックスコードで、古くなったら交換も可能。柔らかくなって、毛羽立ち、カジュアルになりすぎたかな、というタイミングが目安です。紐を新品にするだけで、上品な雰囲気も戻ります。
使い込んだものを修復する過程も楽しみながら、“自分のもの”にしてほしいバッグです。
▲ フラットショルダーは、折りたたんで手持ちしても。
シンプルな設計だから、“お節介”じゃない。
ゴートベロアのバッグを、RENのスタッフはさまざまなスタイルに取り入れています。Tシャツに持つと上品さが際立ち、ジャケットスタイルやシンプルなワンピースには、カジュアルな雰囲気をプラスする。「ウールやカシミヤといった天然素材の洋服にも、自然と馴染む」、「素材感ははっきりと立っているのに、どんな洋服と合わせても、存在をことさら主張しない」、そんな風に口を揃えます。
▲ ミニトートはぽってりとしたフォルムが特徴。底にマチがあるので、小ぶりなのにたっぷり入る。
使い方も、10人いれば10通り。
ある男性スタッフは、フラットショルダーをバッグインバッグとして活用。四角いフォルムを活かして本やA4のファイル、13インチのノートパソコンを入れることもあるといいます。
別の女性スタッフは、ミニトートをおよそ1年間、毎日のように使っています。財布にスマホ、ポーチ、鍵、ペットボトルまで、どっさり入れて持ち歩くとか。繊細そうなルックスとは裏腹の丈夫さと、底面マチのおかげでしょうか。
市場には「このポケットにはこれを、こっちにはこれを」と、細かく設計されたバッグを多く見かけます。ただフラットショルダーやミニトートは、いずれもつくりはシンプル。ゆえに、そのひと次第でどうとでも使える。
“お節介すぎない”のがRENのバッグの持ち味ですが、このふたつは、なかでも象徴的なモデルと言えるでしょう。
どんな洋服に合わせるか、なにを詰め込んで出かけるか……。
「誰かに決められる」ことから自分を解き放つのは、案外、小さなバッグかもしれません。まずはここから。