“使うこと” をつなげる 『ポストマンウォレットのお修理』

“使うこと” をつなげる 『ポストマンウォレットのお修理』

更新:2023/11/15

 

“使うこと” をつなげる、RENのお修理のこと。

 

RENが心がけているのは、使い込んだ状態を大切にすること。買ったときの状態に戻すことではなく、時間をかけて育てた味わいを壊さないようなお修理のご提案です。

RENのアトリエでは、大切に使い込まれたバッグや財布のお修理を承っています。革製品は使う人によって、変化も風合いもひとつとして同じものがありません。だからこそ、お修理の方法もご提案もお客さまによって、ひとつひとつ異なります。

 

 

本連載では、アトリエのお修理風景と、お客さまと愛用品の思い出をお届けします。


#1 ポストマンウォレットのお修理

 

 

お客さま : Mさん

愛用歴 : 10年ほど

 

 

今回、アトリエに届いたのは牛革・SOLUM(ソラム)の『ポストマンウォレット』

新品の革質と比べると、camelの色の変化は歴然です。こっくりとした深い茶色、財布の全体の艶感や革の濃淡。やわらかな質感の変化からも、使う人の時間と生活が想像できるようです。

 

 

「長く愛用してもらえていることが、この風合いから感じますよね。色合いも形の変化も。たとえ壊れた箇所があっても、買い替えるのではなく、直して、さらに使いたいと思ってもらえていることが嬉しく思います」

 

 

今回のお修理は、ファスナーの引き手のスライダー交換。財布の本体からファスナーを引き出して、スライダーをはめ直します。毎日使う財布のスライダーは、どうしても経年によって消耗していくもの。時に、直しながら使い続けることが必要になる部品です。

 

 

「本当は、お客さまから裏地交換のご相談も受けていたんです。ですが裏地交換となると、お財布をパーツごとにすべて分解して組み立て直すことになります。経年の変化や革の状態を考えると、その分リスクも大きくなる。なので今回は、スライダー交換のみを承りました」

お客さまが希望されたことをすべて叶えることが出来ない場合もあります。

その方にとって、どんなお修理方法が一番いいのか。お客さまのお話を聞きながら最善の方法を考えています。時には、希望をすべてを叶えるのではなく、別の方法をご提案することもあります。

ただ、すべてを直してみるのではなく、どんな方法を選択することがいかに綺麗により長く愛用していただけるのか。

 

 

「ここのホックが少しゆるかったので、きっちりと閉まるように直しておきました。あと、ほつれも少し補修しています」

 

 

アトリエにお修理品が届いてから、修理箇所だけでなくきちんと全体を見て物と向き合う。

出来ないこともあるけれど、出来ることはしたい。

追加料金がかかるような補修が必要な場合には、もちろんお客さまへのご連絡をとりますが、追加料金が必要のないような補修は修理担当者の心使いで直しています。

 

 

「戻ってきたものが、ちょっと使いやすくなっていたら嬉しくないですか。あと、お財布のお修理はとくに仕上がりのスピード感を大切にしています。お客さまからお預かりしたら、できるだけ早く手元に戻せるように。毎日使うものだから、お財布のお修理はとくに時間に気をつけています。不便をかけたくなくって」

 

今回の『ポストマンウォレット』は、お預かり日から1週間後にMさんのもとへお送りしました。

 


 

 

Mさんと『ポストマンウォレット』

 

MさんとRENとの出会いは学生時代、都内のセレクトショップでRENのボストンバッグに一目惚れしたことがきかっけだったそう。 そのボストンバッグとの出会いがきっかけで、お財布もRENを選んでくれたといいます。

 

———— どのくらい使われていますか?

「10年くらいは使っていると思います。特にケアなどはせず、毎日使っています」

 

———— “買い換える”のではなく、なぜお修理を選ばれたのですか?

「直しながら使うほうが、思い出を大切にできるかなと思ってます」

 

———— お修理品を受け取っていかがでしたか?

「直してもらい、また一つ自分の財布に物語が加わり感謝です」

 


 

RENのお修理

 

お使いのRENのバッグやお財布、もっと長く使っていただけるようにお修理のご相談を受付ています。困ったことがあったときには、いつでもご相談ください。