公開日 : 2024/03/12
あのひと、にあう革。
〜香菜子さんに、「ハリー」〜
使うひとやライフスタイルに寄り添う革製品をつくりたいと、つねづね考えています。だからか、「この革、あのひとにぴったりかも」と、ハッと思い浮かぶこともしばしば。
ピッグスキン・ハリーは、軽くて薄く、なのに丈夫で、布さながらのしなやかさが特徴です。傷や色むらのある豚皮からできているので、気兼ねない素材とも言えます。
そんなハリーを使ったバッグ「トライアングルフラップ」を、すでに5年以上愛用し続けてくださっているのが、モデルの香菜子さん。美大在学中にモデルを始め、今もなお雑誌や広告などで活躍しながら、自身の雑貨ブランド“LOTA PRODUCT(ロタ プロダクト)" を主宰。最近では白いパンツを履いた謎の生き物「おぱんつ君」というキャラクターを生み出し、人気を集めています。
そんな彼女のSNSにたびたび登場するのが、トライアングルフラップでした。

よいぐあいに経年変化している様子をいつも見ながら、「話を聞いてみたい!」と、いてもたってもいられない気持ちでいました。
そして今、ようやく願いが叶ったのです。
「抜け」をつくる革

柔らかくて、くたっとした革のものをよく選びます。ふだん着る洋服も、そこまでカチッとせず、かといってカジュアルどっぷりにならないのが好きで。スタイリングにちょうどいい「抜け」をつくりたいんです。
そういう意味でハリーの素材は、最初に触れたときからしっくりときました。革の上質さはありながら、抜けもある。そういう調整をしてくれる役目のような気がします。たとえばデニムにTシャツでも、これがあるとバランスがとれて、選ぶアイテムによってカジュアルダウンにも、ドレスアップにもなる。ストライクゾーンが広くて、どっちにも連れていってくれるんですよね。
結局は、これに戻るんです

あとは持っていて気持ちがいいのもあります。たとえばフラップをあけた時、硬い革だとすぐに戻ってしまうけれど、これはそのまま留まっていてくれる。ふだん、無意識のうちにやっている何気ない所作の心地よさが、ずっと使い続けている理由なのかもしれません。
そうなんです。娘が19歳の時に買って、今は25歳なので、使い始めてもう5年以上は経ちますね。最初はなんとなくだったのですが、いつのまにか長くなりました。他の小さいバッグや、厚みのあるバッグも買ったりするのですが、結局はこれに戻るんです。
理由は、なんなんでしょうね?これまで言語化してこなかったのですが、ちょっと考えてみようと思います。
金具が見えない、引き算のバランス

まず、パッと見た目は革だけで、金具が見えないのがなんてシンプルなんだろう、と思いました。金具って、実はけっこう主張につながりますよね。
たとえばバックルが金だったら、あとはコードを調節するバックルがついてたら、また違う印象になっていたかもしれません。革の質感が立って、余計なものがない、この引き算のバランスがいいんでしょうね。
ポケット代わりになんでも入って、すぐ出せる

一番多く出番があるのが、出張や旅行のとき。リュックを背負って、トライアングルフラップを肩から下げて。帰りはお土産などを入れたトートバッグ、この3つ使いが基本です。
中にはお財布と携帯とハンカチ。あとICカードも入れます。

もともとは長財布を使ってたんですけど、半分のサイズにしました。それもよく考えてみると、このバッグを使いたいから、だったかもしれません。これは長財布も入るのですが、ちょっとパツパツになるので。かといって、これ以上小さくもできない。やっぱり今も現金を使いますし、アナログを捨てきれない私には、これくらいの容量が、ちょうどいいんでしょうね。
必要なものがなんでも入って、すぐ出せる。私にとっては、ドラえもんの四次元ポケットのような存在かもしれません。

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