あのひと、にあう革。〜後藤由紀子さんに、「シープメッシュ」〜

あのひと、にあう革。〜後藤由紀子さんに、「シープメッシュ」〜

公開日:2024/10/02

 

〈interview〉

あのひと、にあう革。
〜後藤由紀子さんに、「シープメッシュ」〜

 

すこぶるチャーミングな声と笑顔。これまで暮らしの本を何十冊も出され、みんなの憧れの存在なのに、私たちと同じ目線で話してくれる、ほどよい庶民感覚とユーモア。そしてもちろん、たしかな審美眼。雑貨店「hal」の店主・後藤由紀子さんのことを、RENはとても気になっていました。

このたび縁がつながり、RENのシープメッシュを使ったサークルバスケットを使っていただけることに。そして3ヶ月後、静岡県の沼津にあるお店にうかがいました。

「後藤さん、あれから使い心地はどうですか?」


自分で育てていくもの。

バッグを選ぶ基準は、とにかくシンプルであることですね。

▲お会いしたのは、残暑の厳しい日。涼しげなリネンのワンピースに身を包み、出迎えてくれました。

 

私はそんなにおしゃれ上手なほうではないので、シンプルなほうが、高度な技を使わなくても合わせられるから。洋服のほうはチェックとか、花柄を選ぶこともあるんですけど、バッグは派手派手しいのは持ってないです。

ただひとことシンプルと言っても、好き嫌いはあります。「ごめんなさい!」って言いたくなるくらいあります(笑)。

 

▲後藤さんのとことん好きなものたちがところ狭し並ぶ店内。自著もずらりと並んでいます。

 

ひとつは私、連続模様に弱いところがあって。ランダムなんじゃなくて、均一に並んでいるさまが、習性として好きなんですよね。だから縞々とか格子模様とかに、グッときます。

素材は天然素材のもの。もともと古いものが好きで、ぴかぴかよりも味があるものに惹かれるのですが、最初から古いだけでなく、自分で育てていくのも好きで。かごとか、財布とか、木の器とか、櫛もそうですね。椿の油を一生懸命塗って、経年変化を楽しんでます。

そう、だからお手入れもしますよ。O型なのでそこまで細かく、丁寧にするわけでもないのですが、かといって雑ってわけでもなくて。中途半端な感じです(笑)。

 

▲ものはしまっておくより出しておく派。風通しはもちろん「しまっちゃうと記憶からなくなっちゃうので」

 

一番私が気になるのは、空気がこもること。なので革なら防水スプレーをして、雨の日は持たないですし、使い終わったあともしばらく椅子にかけておくなどして外に出しておいて、空気を通すようにしています。

「ただそこが夫婦喧嘩になる要因でも、実はあって。たとえば「棚の扉はホコリがかぶるからをしめておきたい」という旦那さんと「いやいや、空気がこもっちゃうから開けておきたい」という私と。それぞれ考え方が違うんですけど、これまでカビちゃったりして残念な思いを何度もしてきたので、その反省をふまえてこの歳まで生きてきました(笑)。

 

▲ささやくような声から発せられる、シュールなジョークとのギャップが親近感を誘います。

 

RENのシープメッシュバッグと出会ってまずいいなと思ったのは、この編み目ですね。カゴもそうですけど、ものすごく編み目好きなので、しばらくじっと眺めてしまうほど。

▲「こうしてずっと触っていたくなる」と質感の良さも絶賛してくれました。

 

ネットで見ていただけだとわからなかったのですが、実際に見ると存在感の塩梅がいいな、と。なんというか大味すぎず、だけど雰囲気があって。

あと持ってみると、収まりがいいのがうれしくて。私はなで肩なので、だいたい持っているとずり落ちてきちゃうんですけど、これはショルダーが1本だから、ちゃんと留まってくれる。しかもちゃんと革紐がついているので、ぺろんとして中が丸見えになることもなく「こりゃいいわ」となりました。

 

▲バッグの中身は化粧ポーチ、手ぬぐい、ティッシュケース、名刺入れ、スマホ、お財布、そして鍵。「私には容量とのバランスもちょうどよかったです」

 

編み目の細かさなのか、素材感なのか、この「しなり」がいいですよね。これでパキッとしたハリ感があったら、もっと大きく見えてたと思います。私は身長が153cmで大きいバッグって上手に使えないのですが、これは大きすぎずちょうどいい。柔らかさが体に沿う感じで、女性らしい感じがしましたね。でも持つ人によって、それも印象が変わるかもしれないですね。

 

▲どこがお気に入りかを立って、実際に持ってみて教えてくれる。そんなサービス精神も愛される理由。

 

着る洋服を限定せず、わりと何にでも合わせられるので、応用がきくというか、懐が深いというか。バッグだけでなく、器もそうですよね。何にでも使えるほうが、自然と頻度が高くなる。すると買ってきたものから、うちの子になっていく感覚があるんですよね。

これを持っていくと、行く先々で褒められます。「これかわいい!どこの?」と聞かれると、そのたびに立って、肩にかけて見せるんです。「ほら、ここ紐ついてんの」とか言いながら。鼻高々な気分で。

軽さもよかったし、何よりきちんとして見えるのがいいですね。旦那さんとも話してるんです。「歳をとったから、身なりはこぎれいしないと、みすぼらしくなっちゃう。いろいろ気をつけようねって(笑)」

 

 

 

 


ーPROFILEー

後藤由紀子さん

静岡・沼津で器と雑貨の店「hal」を営み、暮らしの中で自分が心から「いい」と思ったもののみを店に並べている。暮らしの工夫や気づきを綴った飾らないエッセイ、著書も好評。

公式サイト:Instagram:@gotoyukikodesu


関連記事

COLUMN / 気品あるニットソーのように シープメッシュの存在感

  

COLUMN / シープメッシュを使ってみて ——6つの「想像と違った」こと。