公開日 : 2026/04/30
〈interview〉
「アーバンハイク」という新しい発想。
「都会の移動も、駅までの道や打ち合わせへの移動を合わせれば、実は結構な距離を歩いています。考えてみればそれもひとつの『ハイク』なんじゃないかって」
“アーバンハイク”というコンセプトのもと形にした、RENの新しいバックパック「ライズパック 16L」。
このニューアイテムができるまでのストーリーを、デザイナーの柳本に伺いました。
ジャケットと、街に溶け込むフォルム。
まず着手したのは、アウトドアリュックでは当たり前とされるディテールを「なくす」ことでした。
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「登山のザックって、チェストストラップ(胸元のベルト)やウエストベルト、ストックを引っ掛けるためのホルダーがついてたりしますよね。ただそれをそのまま街で背負うと、ビジネスウェアとしての顔立ちを壊してしまう。だから装飾的なストラップやホルダーはすべて削ぎ落として、スッキリとさせました」
あえて機能を制限することで、ジャケットスタイルにも自然に溶け込む、端正なフォルムが完成しました。
16リットルの「ちょうどよさ」。
一般的に、登山のザックであれば20リットル以上が標準的。しかし、都会での仕事道具と捉えたとき、その容量はときに過剰になります。
「20リッターを超えてしまうと、どうしても山!という感じが強くなりすぎて、バランスが悪くなってしまう。とはいえ、13インチのPCや傘、ボトルなど、仕事に必要なものはすべて収めたい。その『最小限』を突き詰めた結果が、16リットルでした」
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背負った時にバッグが体に負けない、スマートな厚み。荷物を詰め込んでも、シルエットが崩れにくい設計。容量に制約を設けることで、都会の風景に馴染む端正なフォルムを維持しています。
部屋はふたつ、あればいい。
「仕切りがあったり、ポケットがありすぎたりすると、かえって使いづらい。どこに何を入れたか分からなくなるから、本当にざっくりと、必要な分だけ。すると“ふたつの部屋”くらいが、ちょうどいいなと思ったんです」
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背中側のスリーブには、PCや書類などの平面的なものを。外側のスペースには、お弁当や羽織りもの、ポーチなどのかさばるアイテムを。用途に応じて部屋を分けることで、バッグの中で荷物が混ざらず、所作がスマートに。もちろんスリーブにはクッション性を持たせ、デジタルツールを安全に運ぶための配慮も欠かしません。
電車という都市のトレイルに向きあう。
都会のハイクにおいて、避けて通れないのが公共交通機関での移動。特に満員電車での振る舞いは、街特有の課題です。
「アーバンの象徴って、やっぱり電車だと思うんです。だから、前に抱えた時に荷物が取り出しやすいか。その位置関係にはかなりこだわりました」
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ライズパックは、電車内でバッグを前に抱えた際、ジップの開閉やポケットへのアクセスが自然な動きで行えるよう設計されています。「しまいすぎると取り出しにくい、でも出しっぱなしにはしたくない。そのギリギリのラインを狙ってます」
ダブルメインのジップは、どちらの部屋にもスムーズに手が届く配置に。サイドポケットも背負ったまま、あるいは前に抱えたまま、ボトルやスマートフォンを出し入れしやすい絶妙な角度に設定されています。
裏地を表にも使う、という発想。
そして素材。「タフさ」に偏りすぎず、かつウルトラライトの「軽さ」といった、アウトドア的なスペックを追いかけない。熟考を重ねた上、本来バッグの「裏地」に使われることが多い、ツイルナイロン110を採用。あえて裏地を表側にも持ってきたのには、明確な理由があります。
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「裏地ならではのキメの細かさと、上品な光沢感。それが、街中の風景やビジネスウェアの質感にすごく馴染む。何より持っていることを忘れるほど軽い。380gという軽さは、この素材だから実現できました」
裏地にはもともと弱撥水加工があるので、都市生活での不意の雨にも対応。街で歩くために必要な「軽さ」と「佇まい」を両立させる。それがRENらしい、実直な機能の持たせ方です。
さらにRENのアイデンティティとも言えるレザーは、ジッパータブとタグのみに、さりげなく。この最小限のアクセントによって、より「効かせる」ことができました。
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削ぎ落とせば、研ぎ澄まされる。
ディテールを増やすほど、できることも増えていきます。しかしRENではあえてその可能性を、削ぎ落とす。「制限があるからこそ、何が必要で何が不要かを突き詰めることができる。やれる範囲で濃くする。それがものづくりの姿勢です」
無駄な装飾を排し、歩くための「軽さ」と、使うための「合理性」だけを形にする。都会というフィールドを誠実に歩き続ける人のための、現代の仕事道具です。

ー撮影協力店舗ー

角田商店
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