公開日:2025/06/24
〈interview〉
ものづくりの風景
ETONOVA 吉田愛さん

やっぱり服が好き
京都で生まれ育ち、「ちっちゃい頃から服が好きだった」という吉田さん。ご両親がカーテンやインテリアの生地を設計する仕事をされていて、サンプルの織地をもらって帰って、人形の服を手作りして遊ぶこともあったそうです。
「当時の私はあまりよく理解していませんでしたが、母親が図案を描いて、それを父親が織りの設計に落とし込んでいたようです。そういう、ものづくりをしている人が身近にいた影響もあるんでしょうか。息子も作ることや描くことが好きで、私が作業をしていると真似するように絵を描いたりすることもあります。あと私の母親が近所に住んでいるんですけど、もともと織物の図案を描く仕事をしていたこともあって、家にたくさんある絵の具で息子に絵を描かせてくれたり、最近は家で染めをしてはって、『ちょっとやってみーひん?』って一緒にやらせてくれるんです」(吉田さん)

大学では「生活デザイン」という、建築、生活の道具、服など、暮らしに関わるものごとを幅広く学べる学科を専攻。さまざまなものに触れる中で「やっぱり服が好きだな」と思い、大学での経験や知識を深めるために服飾の専門学校で1年学び直したのだそうです。
「当時はデザイナー志望だったのですが、先生に『結局服を作れるのはパタンナーよ!もっと勉強したらいいわ』と言われて就職先を紹介していただいて。卒業後はパタンナー向けの講習会を開催している会社で、講師の助手として働きながら学びました。今もまだまだ未熟なので迷うことは多いですが、パターン作りは楽しいので、先生にこの道を開いてもらったことを感謝しています。その後、実際にパターンを作りたい、働くなら自分の好きなテイストのブランドがいいなと思って、東京の街を散策して見つけたお店に、パタンナー募集の張り紙があったんです。『ここや!』と思って飛びついたのですが、ちょうど先に採用が決まってしまったタイミングだったりして、2回くらい断られたんですけど、手紙を出してみたりと食い下がって、なんとかパタンナーとして働かせていただきました。その後は神戸や大阪のブランドに務めて、息子が幼稚園に入るタイミングで京都に戻りました。どの会社でもとても濃密な経験をさせていただきました」(吉田さん)

自分なりのなにかをプラスしてみたい
「ちょこちょこいろんなものが好き」という言葉の通り、映画、美術館、音楽フェス、雑貨屋など興味のアンテナがとても大きく、それぞれの刺激を楽しみながらキャッチしている吉田さん。普段はご自宅にある作業部屋で、ラジオやポッドキャストを聞き流しながら手を動かすことが多いそうです。
「ずっと無音より、誰かの喋り声が聞こえた方がなんか落ち着くんです。大阪のFM802や、地元京都のα-station『flag radio』という番組でくるりが月曜レギュラーを担当しているのを、radikoのタイムフリーでよく聴いています。今までは時間はあればあるだけ使おうと思って頑張っていて、たった15分でも隙間があったら作業していたんですけど、体に不調が出てきたりして大変になってきたので、あれはやりすぎだったんやなって思い直しまして。最近はだいたい18時まで作業するんですが、途中夕方に息子が学校から帰ってきたらちょっと話して、『もうちょっとやってくるわ』って部屋に戻って、みたいな感じです」(吉田さん)

ETONOVAの立ち上げから約8年。RENのお客様からも、ETONOVAのPOP UP開催を心待ちにされている声をいただくことが年々増えてきたように感じています。インタビューの最後に、今後やりたいことや作りたいものについて吉田さんに伺ってみました。
「最近はお洋服をあまり作れていなかったので、もうちょっと作りたいなと。人の似顔絵というモチーフもどこか借り物感があるので、そこに自分なりの、オリジナルのなにかをプラスしたバージョンも作っていけたらなと思っています。あとは、ずっと作ってばっかりやとインプットが無くなりがちやから、もうちょっと外に出なとか思ったり。バランスよく楽しくやっていきたいですね」(吉田さん)
取材当日、開店直後にお越しになったお客様がETONOVAのアイテムをお買い上げくださり、お礼と共に「作者です」と声をかけた吉田さん。レジ前でお二人がにこやかに言葉を交わしていた様子がとても印象に残っています。吉田さんが着ていたフリーダ・カーロのシャツも、RENコラボバッグを持った姿もなんだかとってもお似合いで、作る人や使う人それぞれの魅力が“もの”に映し出される面白さを、改めて実感した1日となりました。

《ETONOVA×REN コラボレーションバッグ》
https://ren-webshop.com/blogs/info/renxetonova-2025/
2025年6月7日(土)〜
WEB SHOPおよび各直営店舗にて販売
・事前予約、取り置きは承っておりません。
・各店数量限定入荷のため、追加納品の予定はございません。
・一点ものにつき、各店ラインナップは異なります。
・在庫状況は各店にてご確認ください。
《ETONOVA POP UP SHOP》
蔵前
2025年6月7日(土)〜15日(日) -終了-
神楽坂店
2025年6月20日(金)〜29日(日)
ジョイナス横浜店
2025年7月4日(金)〜21日(祝月)
阪神梅田店
2025年7月11日(金)〜
ETONOVA×REN コラボレーションバッグのほか、シャツなどさまざまなアイテムがございます。ぜひお手に取ってご覧ください。

-PROFILE-
ETONOVA
2017年に吉田愛さんが設立したブランド。“思”という漢字の中に、“エトノバ”というカタカナのパーツを見立てたことが由来。誰かの思いに寄り添ってきた服やハギレを仕立て直し、日々のちょっと気分の上がるアイテムを製作しています。
Instagram:https://www.instagram.com/et.nova
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ETONOVA 吉田愛さん
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